聖女のちょっとした受難

エムブリオマシンRPGのリプレイ新作。
ノリはじめていた秋口ぎぐるの前シリーズが3巻で終了。
今回からはイラストレーター:黒渕かしこ/GM&著者:番棚葵へ変更して、新シリーズです。

聖女のちょっとした受難―Replay:エムブリオマシンRPG (integral)

聖女のちょっとした受難―Replay:エムブリオマシンRPG (integral)

そもそもエムブリオマシンは、ウォーゲームの企画を体裁としてRPGにしたような作品で、プロッティング*1で、ロボット物ウォーゲームをやろうというコンセプトは、RPGのもう一つの側面、「ロールプレイ」とはあまり相性がいいようには見えません。*2
このため、設定面で若干の無理があり(戦闘行動は10分に限る、など)、ルネッサンス期程度の文明レベルに発掘兵器としてのロボット兵器と言う設定と、在野のPCがエムブリオマシンを自前で持てるという設定が、今ひとつしっくり来ません。


そんな作品のリプレイなので、いろいろと問題はあるのですが……
今回のシリーズは、戦闘シーンが読みづらいとか緊迫感がないとか、そんなのメじゃありませんでした(笑)。
とにかく、登場するPCが4人ともおかしな人過ぎて、オジサマ好き、妹フェチ、マザコンと病的な嗜好の持ち主ばかりに加え、主人公ポジションのアンジーに至っては、10才の妹を殴り倒し権力に売ろうと画策するなど*3、お天道様に顔向けできる性格とは思えません。
キャラ立て、間違ってるよ……


シナリオのギミックとして、PCが2人ずつ2組に分かれ敵対し、装備もジャングルで調達する*4という、これまたボードゲーム的なギミックのため、リプレイ小説として読んだ限り、その面白さは十全には伝わってきていないと思います。
それに、そういうギミックの結果、兵装がPCの意図とは関係なく決まってしまうため、エムブリオマシンの性能がキャラ立てと直結しておらず、ロボット物としては今ひとつの印象を受けます。


……と、これだけあるんですけど、総合的な感想としては、「薄い」の一言に尽きるんだよなぁ(笑)。
イラストもカラーは可愛らしいんですが、モノクロは今一つだなぁ。
ワールド的には一つの地域の重要なエピソードが進んでいるワケで、今後の展開に期待。

*1:行動内容を予め予定(プロット)して、同時タイミングで処理するシステム。

*2:極めて、ゲーム的なゲーム処理であるため。

*3:註:誇張表現です。

*4:サプリメント「密林戦線」のギミックのようで、エムブリオマシンから兵装を解除するのがシュミな動物が生息しているラシイです。