メイド喫茶で会いましょう

まぁ、僕がここで書く本としては随分と毛色が違っているわけですが……
手加減はしません(笑)。

メイド喫茶で会いましょう

メイド喫茶で会いましょう

本書は、「メイド喫茶」という文化……いやサブカルチャーを読み解こうと試みた、「メイド喫茶読本」であります。
ただ、表紙に「完全読本」とか書かれておりますが……正直なところ、僕の評価としては65点というところかな。
完全には程遠い。


具体的には、とにかく編集がひどい。
編集者が仕事をしていないとしか思えない。
複数の著者による共著なんだけど、コンセプトや視点がバラバラ*1、用語の統一ができていない*2など、基礎的なことができていない。
PART5に至っては、一項目ずつ書いたんだろうけど、折角「源流を辿る」という面白い首題なのにも関わらず、その主題がフラついて最終的に、どういう結論に達したいのかが不明。
しかも解説本のはずなのに、図表やチャートによる視認化がされていない。*3
こーいう点は根本的に、編集者がもっと注意すべき点だと思うのだけれど、まったく成されていません。
突貫本という印象です。


けれど、非難すべき点ばかりではありません。
アイドル本なんかも出している出版社だけあって、カラー部のデザインはなかなか素晴しい。*4
記事の中でも特筆すべきは、PART2の一人の男性が、メイド喫茶を開店し、そして閉店するまでの記録。これはこれだけで1冊の価値がある。
これを読む限り、彼はサービス業を経営するという点においては素養があったと思われる。
ただ、「メイド喫茶」を続けていくに当たり、どのようなコンテンツで勝負すればいいのか、そこに才が欠けていたように見受けられる。
もっとも、こればっかりは現在でも確立されているものがない五里霧中の状態で、オタクジャンルに興味のなかった彼には無理らしからぬことだったと思う。
メイド喫茶」という流れ、文化そういったものを冷静に受け止めるには、非常に価値のある資料ではないかと思う。


総評としては、「ザンネンな本」というのが正直なところだが、価格が1300円と非常に安い。
部分的に非常に注目すべき記事もあり、ぜひご一読をお勧めする。
あ、購入してのご一読をお勧めする。


買ってあげましょう。
ぜひ……(笑)。


まともな紹介は、この辺を参考にしてください(笑)。
http://blog.livedoor.jp/geek/archives/50719893.html

*1:メイド喫茶に通うような層が読むのか、それをサブカルチャーとして眺める層が読むのか、まったくの一般人が読むのか。それによって注釈などが異なるはずなのに、必要と思える注釈が殆ど存在しない。もともと注釈を加えるに向いたレイアウトになっていない。

*2:特にPART1はひどくて、「メイド喫茶」と「メイドカフェ」が一つの章立ての中に混在していたりする。こういうのは本全体で統一すべきだ。

*3:というか、そこまで分類や系統を掘り下げていないというのが実情ですが。

*4:なのになぜ、中のレイアウトが雑誌のお茶濁し記事みたいに大雑把なのかが甚だ疑問なのだが。