崖の上のポニョ


ヤオイはいいね。リリンの生み出した文化の極みだよ」


 鑑賞中に、ずっと頭の中で別な作品がチラチラしてました。
 それは、『新世紀エヴァンゲリオン』劇場版。
 新作ではなく、旧作の方の。
 全ての人類が、生命の源に還元されて、新たな生命体として生まれ変わろうとするものの、主人公が思い直して再生する物語。
 ポニョの方は、人面金魚が外見上は変わり無く「半漁人」になり、そして「人間」になろうとする。
 それはいいんだけど、人類の方が違う「何か」になってしまったかのようで、観ていて怖かった。
 一匹の人面金魚のワガママで、ひょっとして人類滅ぼされちゃったのではないかと。
 そして、そんな人面金魚を拾った宗介だけが、唯一残った人類なのではないかと。
 宮崎監督は「子供たちのために作った」とコメントしているから、色々と余計なことを考える大人の方が愚かなのかもしれませんが。
 でも、監督のオフィシャルなコメントが一番信用ならないし。
 とにかく、ちりばめた謎をいっさい回収しない手法も含めて、ほのぼのした絵柄の『エヴァンゲリオン』というのが私の第一印象でした。