るるいえあんてぃーく

こちらもエンターブレインA5サイズ書籍。
冗談みたいなタイトル、表紙ですが。
クトゥルフの呼び声」です(笑)。*1

「多面体寄せ木細工事件」「ピックマンの絵画事件」「るるいえ堂盗難事件」と三話収録。


CoCと言うと、どうしても敷居が高くなるのは、1920年アメリカとか近くて遠い舞台を取り扱っているから、と言う点もあると思うのですが。
僕たちもそうでしたが、実際のプレイとしては現代日本を舞台にするというやり方もあるわけです。


本書では、4人のPCのうち。
一人は女子高生、一人はメイドというトンデモないセッティングではあるのですが(笑)。
古物商「るるいえ堂」の娘、著名心理学者のメイドという立ち位置を用意することで、実は難なく怪異に導入されていきます。


そして、表紙のみならず。
中のカットでは、裸にされ儀式に供される少女、何てのはホラー題材としては定番とは言え。
水着シーンに入浴シーンとサービスカット多め(笑)。
ライトノベル読者層が入りやすくなっています。
その反面、その内容は。
ティンダロスの猟犬、「ピックマンのモデル」、そして“名状しがたきもの”ハスター。(念のためネタバレ回避)
と、有名どころを上手く扱っており。
そして、物語の構成も、閉鎖空間ミステリ風、猟奇スプラッター風、因習ある寒村物風と手を変え品を変え、上手く料理してきています。


まぁ、難があるとするならば。
タイトルにもなっている古物商「るるいえ堂」が、主軸になっていると言うよりは。PCの1人、心理学者の辰巳が主軸になっている感があるぐらいですが(笑)。
その分、女子高生視点では、正気度が多めのこともあり、安心して読める、と言うこともあるのかもしれません。


まぁ。
どうしても、表紙やセッティングはネタ色が強いんですが。
何となく、いろいろ「クトゥルフ」ネタは耳に入っているものの実際には読んだことはない、的なラノベ読者層にはエントリー作品として、実にいい作品なんじゃないかと思います。

*1:まぁ、「ルルイエ」って付いてますからね。