報道と恐慌

この度の豚インフルエンザ報道については、完全に右派・左派ができつつある。


オカシイ、と思うのは。

「日本の豚インフルエンザ報道はおかしい、海外でマスクをしているのは日本人だけ。日本人は異常」

と、言っている人々だ。


彼らの論調はこうだ。

・インフルエンザは市販のマスクでは防げない。
・外国人はマスクをしない。
・日本人だけが一様にマスクをしていておかしい。

まったく、根拠がない。


まず、第一の条件である。
「インフルエンザはマスクでは防げない」
そもそも、これが二重の嘘だ。


確かに、インフルエンザウィルスから見れば、市販のマスクなどザルも同然。止められるわけがない。
ただし、それは空気感染するウィルスについての話だ。
今回のウィルスは弱毒性
空気感染はしない。
あくまで粘膜接触・飛沫接触でしか感染しない。
このタイプのウィルスであれば、直接接触を防げばいいだけなので、当然にマスクで防げることになる。


そしてそもそも根本的に、マスクは。
感染者が、他者に感染させないために必要なのである。
咳、くしゃみ、いやそれどころか喋っているときに飛んでいる唾液にもウィルスは含まれている。
例えば、電車の中でペチャクチャ喋っていれば、半径120cm程度の範囲にウィルスは降りしきっている。
対面で話をしていれば、まず間違いなく飛沫は被っている。
それが、目鼻唇などから直接感染する恐れがある。*1


また、飛沫による接触は、直接口などへ入らなくても、
「感染者が口を押さえた手」→「つり革など」→「非感染者の手」→「口」
などと日常生活において感染する恐れがある。
手洗いなどを徹底すれば、食事などのタイミングでの感染は防げるが、だいたいにおいて、日常生活で意識をしなくても目や口に触れてしまうこともある。
少なくとも、鼻や口をマスクで覆えば、これは防ぐことはできる。


マスクをしないことがスタンダードでジャスティス。
「俺のリスペクトするアメリカ人はマスクなんかしねーぜ、ヒャッハー」
そういう人々は、自分が唾液とともにウィルスを振りまいている可能性を考えていない。
あるいは意図的に無視している。
自分には関係ないと、「他者に感染させない努力を怠る」。
感染が広がり、誰がサイレントキャリアになっているかわからない状況において、自分の都合しか考えないエゴイストだ。
だいたい、国家機関や医療のプロフェッショナル、大企業が薦めているにも関わらず、貴方は何様なのか聞きたい。


マスクは、絶対にすべきなのだ。


繰り返す。
マスクはすべきなのだ。

*1:もちろん、こういったケースでも今回のインフルエンザウィルスでは感染発症の可能性は低いことは承知している。ただそれでも免疫の弱い人間は死に至る病であると言うことを念頭に考えるべきである。