剣十字の騎士
「時計仕掛けの破壊神」「ビューティフルデイ」に続く、エンターブレインのA5版のリプレイシリーズ。
第三弾。
「まことの騎士」*1の稲葉義明の、ブレイド・オブ・アルカナ3rdリプレイです。
ブレイド・オブ・アルカナ The 3rd Edition リプレイ 剣十字の騎士 (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
- 作者: 稲葉義明,F.E.A.R.
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/03/11
- メディア: 大型本
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「笑わない街」は、殺戮者に支配された街を開放する、という実に正統派のシナリオ。
そこに、PC2のダイアナに教皇特使の枢機卿というポジションを与え、悪政を布く支配者、身分を隠してそれを覆す主人公という構図になっています。
水戸黄門、隠密同心や暴れん坊将軍ですね。
その昔。
最初に、ブレイド・オブ・アルカナが登場した際。
これは、「三匹が斬る」*2をやるTRPGだなぁ、と感じたことを思い出します。
当時、まだまだ今ほどF.E.A.R.的なセッション運用が確立されておらず、ハンドアウトを用いたり、PC個別に導入やミッションがあるのは一般的ではありませんでした。
キャンペーンをやった場合。*3
毎回、PCたちが“偶然に”事件に遭遇し、そして紆余曲折を経て合流、力をあわせ悪を倒す。そして、最後はそれぞれの道に戻っていくという流れは、まさに「三匹が斬る」の構造でした。
西洋風ファイハンタジーの皮を被りながら、実は非常に時代劇と相性のいいBoA(笑)。
表題作「剣十字の騎士」は、その上を行きます。
後書きにもあるように、このシナリオのモチーフは山田風太郎の「甲賀忍法帖」です。
かつて一つの陣営に属し、中には友愛の関係にある者たちが、5対5のサバイバル戦を繰り広げる。という。
「甲賀忍法帖」では、徳川家康ナニやってんだという感じでしたが、こちらには一応筋が通った陰謀が存在します。
PCたちを一つの陣営に配置せず、敢えて両陣営に配置することで、愛憎相見える戦いの部分を強調します。
それにしても、巧いなぁ、と思うのは。
5対5、つまり10人のメンバーの総当たり戦になりそうなところを、ミドルに入って冒頭、一番大物とも言える組み合わせを相打ちにして数を減らしたり。
こちらの陣営が一人減り、あちらの陣営が一人減り。
適宜、戦闘も行われ。
実にバランスよく、展開されています。
正直、考えたんですが、同じシチュエーションを再現しろといわれて、これ以上のバランスは思いつきません。
匠の技の一冊ですなぁ。